骨疾患:ミオスタチンは破骨細胞分化に直接影響する調節因子であり、その阻害はマウスで炎症性関節破壊を軽減する
Nature Medicine 21, 9 doi: 10.1038/nm.3917
ミオスタチン(別名は増殖分化因子8)は、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)ファミリーの分泌型メンバーで、骨格筋で主に発現され、骨格筋はその主な標的組織でもある。マウスでミオスタチン遺伝子(Mstn)を欠失させると筋肥大が引き起こされ、動物研究はミオスタチンが筋の増殖と再生の負の調節因子であるという考え方を裏付けている。しかし、ミオスタチン欠損は骨形成も増大させ、これは主に骨に対する負荷に関連する影響を介している。今回我々は、破骨細胞形成と関節リウマチ(RA)での関節骨の進行性喪失にミオスタチンが果たすこれまで知られていなかった直接的な役割について報告する。ミオスタチンはRA患者、およびヒトRAのモデルであるヒト腫瘍壊死因子(TNF)-αトランスジェニック(hTNFtg)マウスの滑膜組織で高度に発現している。ミオスタチンは、in vitroで転写因子SMAD2に依存するNFATC(nuclear factor of activated T-cell)1の調節を介して、RANKL(receptor activator of nuclear factor κB ligand)介在性破骨細胞形成を強力に増強する。ミオスタチンの欠損あるいは抗体による阻害により、hTNFtgマウスでの関節炎の重症度が軽減し、これは主に骨破壊の減少を反映している。hTNFtgマウスでのこれらの作用と一致して、ミオスタチンの欠損はマウスのK/BxN血清誘導性関節炎モデルで握力の増加と骨浸食の低下をもたらす。以上の結果は、ミオスタチンがRAでの破骨細胞形成と関節破壊を抑える強力な治療標的であることを強く示唆している。