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血管内皮機能:Nogo-Bは内皮のスフィンゴ脂質恒常性の調節により血管機能と血圧を制御する

Nature Medicine 21, 9 doi: 10.1038/nm.3934

内皮機能不全は高血圧などの多くの心血管疾患で重要な要因となっている。脂質シグナル伝達が内皮機能不全や心血管疾患に関係することが示されているが、具体的な分子機構はほとんど解明されていない。今回我々は、小胞体の膜タンパク質であるNogo-Bが内皮のスフィンゴ脂質生合成を調節し、血管機能や血圧に直接影響を与えていることを報告する。Nogo-Bは、de novoスフィンゴ脂質生合成経路を律速する酵素であるセリンパルミトイルトランスフェラーゼの阻害により、内皮でのスフィンゴシン1-リン酸産生と、この代謝産物によるGタンパク質共役受容体依存性のオートクリンシグナル伝達を制御する。全身的、あるいは内皮細胞特異的にNogo-Bを欠損するマウスは低血圧となり、アンギオテンシンII誘発性高血圧が起こりにくく、内皮機能と酸化窒素放出は保たれている。Nogo-Bを欠損するマウスでは、セリンパルミトイルトランスフェラーゼをミリオシンによって薬理学的に阻害すると、内皮機能不全とアンギオテンシンII誘発性高血圧が引き起こされる。我々の研究は、Nogo-Bが局所のスフィンゴ脂質合成の重要な阻害因子であることを明らかにし、また、内皮内でのスフィンゴ脂質によるオートクリンシグナル伝達が血管機能および血圧の恒常性に重要であることを示している。

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