Perspective

がん免疫療法:固形がんに対して遺伝子改変T細胞を用いる免疫療法の見通し

Nature Medicine 22, 1 doi: 10.1038/nm.4015

受容体改変T細胞の養子移入は、B細胞性白血病やリンパ腫の患者の治療で目覚ましい成果を挙げた。この成功は人々の関心を引き、がんに関連した死亡の最大の原因である上皮がんに共通に存在する抗原を標的とした、同じような「簡単に手に入る」受容体の開発に大学や企業の研究者を駆り立てることになった。しかし、この手法により固形がん患者の治療に広く成功することは容易ではないだろう。受容体改変T細胞が正常な組織を標的として認識してしまえば致死的な毒性が生じる可能性があり、そして腫瘍のタイプにまたがって共有される真の腫瘍特異的抗原は正常組織にも少数存在するのである。本稿では、攻撃相手を遺伝学的に改変したT細胞の使用を拡大して多数の固形がん患者を治療するには、個々人の体細胞性変異を標的とした自家移植遺伝子治療法の開発という中心課題に関わる技術、製造、規制の大きな革新が必要だという我々の見通しについて論じる。

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