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結核:陽電子放射断層撮影法によって明らかになった結核治癒後の病変部での活動性持続と結核菌mRNAの存続
Nature Medicine 22, 10 doi: 10.1038/nm.4177
肺結核(PTB)治療の新しい手法を開発するにあたっては、抗生物質が感染の完全治癒を導く時期を決定する判断基準がないことが混乱を引き起こしてきた。今回我々は、HIV陰性の成人PTB患者では、6か月間の標準治療に続いて1年間の継続管理を行った後に、かなりの割合の患者で(持続的治癒の患者も後に結核が再発した患者も含む)、活動性疾患に一致する陽電子放射断層撮影法-コンピューター断層撮影法(PET-CT)画像化応答パターンが観察され、それと共に痰試料および気管支肺胞洗浄試料に結核菌(Mycobacterium tuberculosis:MTB)mRNAの存在が認められたことを報告する。PET-CT画像上の病変部が解消せず、むしろ増強された状態でMTB mRNAが存在することは、転写が進行中であることを示していると考えられ、治癒につながったように見えるPTB治療でも、大部分の患者ではMTBが完全に根絶されていないことを示唆している。これは無病状態の維持に免疫応答が重要な補完的役割を果たしていることを示している。改良され治療期間が短縮されたPTB治療戦略の開発を成功させるのには、完全治癒薬あるいは宿主指向型治療、およびよりよい治療応答マーカーが必要であろう。