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がん:HAUSPは神経芽細胞腫でN-Mycを脱ユビキチン化して安定化する
Nature Medicine 22, 10 doi: 10.1038/nm.4180
MYCNがん原遺伝子は、神経芽細胞腫などのヒトの進行期腫瘍の一部で増幅が見られる。MYCN(別名N-Myc)は、がんタンパク質のMYCファミリーに属する他のタンパク質と同じく転写因子であり、その安定性と活性はユビキチン化に依存して起こるプロテアソームによる分解によって厳密に制御されている。N-Mycが神経芽細胞腫の腫瘍形成のドライバーであることは多くの研究で実証されているが、ヒト腫瘍でN-Myc活性を直接抑制する治療法は限られている。今回我々は、USP7(ubiquitin-specific protease 7、別名HAUSP)が神経芽細胞腫におけるN-Myc機能の調節因子であることを突き止めた。HAUSPはN-Mycと相互作用し、またHAUSPの発現はN-Mycの脱ユビキチン化とその後の安定化を誘導した。逆に、神経芽細胞腫のがん細胞株でのRNA干渉(RNAi)によるUSP7のノックダウン、あるいはマウス脳でのUsp7の遺伝的除去によってN-Mycは不安定化され、これがN-Myc機能の阻害につながる。特に、神経芽細胞腫の患者では予後が不良であるほどHAUSPの量が増えていて、またHAUSP発現はN-Mycの転写活性とほぼ相関していた。さらに、HAUSPの脱ユビキチン酵素活性の低分子阻害剤は異種移植マウスモデルでMYCN増幅ヒト神経芽細胞腫細胞株の増殖を顕著に抑制した。まとめると今回の知見は、in vivoでのN-Myc機能の調節にHAUSPが重要な役割を担っていることを実証するもので、またHAUSP阻害がMYCN増幅腫瘍の治療法となる可能性を示唆している。