Technical Report
がん:ヒト化マウスにおける前がん性形質細胞および悪性形質細胞の微小環境依存的な増殖
Nature Medicine 22, 11 doi: 10.1038/nm.4202
骨髄腫などのほとんどのヒトがんでは、発症に先行して前駆的状態が生じる。骨髄微小環境内でのヒト前がん性細胞と非悪性細胞の相互作用を調べるためのin vivoモデルが探索されているが、まだ得られていない。今回我々は、マウスを遺伝学的にヒト化し、in vivoで初代ヒト前がん性形質細胞およびヒト悪性形質細胞が非悪性細胞とともに増殖できるようにした。増殖は骨髄にほぼ限定され、骨髄腫患者で見られる増殖パターンとよく似ていた。異種移植細胞群は親腫瘍のゲノム複雑性を保持しており、その他の体細胞のゲノム変化も明らかになった。さらに、前がん性免疫グロブリン血症の患者由来の異種移植細胞群は進行性増殖を示したことから、これらの病変の臨床的安定性は、腫瘍細胞に対する外的な増殖制御に一部起因している可能性が示唆された。これらのデータは、ヒト形質細胞腫瘍の全体像を調べるための新たな手法を示しており、ヒト腫瘍の機能的多様性を解明するためのヒト化モデルの有用性を明確に示している。