Letter
がん治療:頻発性のMET融合遺伝子は小児膠芽腫で薬剤標的となる
Nature Medicine 22, 11 doi: 10.1038/nm.4204
小児の膠芽腫は小児脳腫瘍の中で最もよく見られ、かつ致死性の最も高いものの1つである。我々は53例の小児膠芽腫と5つのin vitroモデル系についての統合的遺伝解析を用いて、症例のほぼ10%に、発がん遺伝子METが関係する、これまで明らかになっていなかった遺伝子融合が存在することを突き止めた。これらのMET融合はMAPキナーゼ(MAPK)シグナル伝達を活性化し、細胞周期調節を損なう異常と共同的に働いて、in vivoで浸潤性の神経膠腫を引き起こした。MET阻害剤は、異種移植モデルでMET腫瘍の増殖を抑制した。また、MET融合遺伝子を発現している膠芽腫の小児患者に標的阻害剤であるクリゾチニブを投与したところ、この治療によって大幅な腫瘍退縮が見られ、それに伴って症状も軽減したが、治療抵抗性の新たな病変が出現し、持続的な臨床的応答を達成するには併用療法が必要となる可能性が示された。