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がん:CYP3A5は膵管腺がんの多様なサブタイプでベースの治療耐性と獲得治療耐性に関わっている

Nature Medicine 22, 3 doi: 10.1038/nm.4038

悪性腫瘍の膵管腺がん(PDAC)には複数のサブタイプがあるが、臨床的にはいまだに単一種の疾患として治療されている。今回我々は、これまでに見つかっている準間葉的(QM-PDA)、古典的、および膵外分泌腺様というPDACサブタイプの全てを網羅する患者由来モデルを示す。我々はまた、免疫組織染色を用いて腫瘍を異なるサブタイプに層別化することを可能にする2つのマーカーのHNF1AとKRT81を明らかにした。これらのサブタイプの腫瘍が生じている患者では全生存期間が大きくばらついていて、各腫瘍は薬剤感受性も多様であり、外分泌腺様サブタイプはチロシンキナーゼ阻害薬とパクリタクセルに耐性を示す。外分泌腺様サブタイプの腫瘍では、このような化合物がシトクロムP450 3A5(CYP3A5)により代謝され、CYP3A5を薬理学的あるいは短鎖ヘアピンRNA(shRNA)を使って阻害すると腫瘍細胞がこれらの薬物に対して感受性となる。肝細胞核因子4α(HNF4A)がCYP3A5のベースの発現レベルを制御するのに対して、薬剤誘発性のCYP3A5発現レベル上昇は核内受容体NR1/2によって仲介される。CYP3A5はまた、QM-PDAおよび古典的PDACの薬物に対する獲得耐性にも関わっていて、他の複数の悪性腫瘍でも高度に発現している。以上の結果は、CYP3A5が治療応答の予測因子となること、またCYP3A5は腫瘍細胞自律的解毒機構であって薬剤耐性防止のために抑制が必要であることを明らかにしている。

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