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HIV:ヒトモノクローナル中和抗体を用いた早期の短期治療は幼若マカクザルでSHIV感染の進行を停止させる
Nature Medicine 22, 4 doi: 10.1038/nm.4063
HIVの母子感染(MTCT)の防止は、出産前ケアを容易に行えない場所ではいまだに達成されていない大きな目標である。我々は、HIV-1特異的ヒトモノクローナル中和抗体(NmAb)を曝露後治療手段として使うことについて、分娩時MTCTの幼若マカクザルモデルを使って検討を行った。まず、1カ月齢のアカゲザルにサル-ヒト免疫不全ウイルスSHIVSF162P3を経口接種し、ウイルス曝露後の1、4、7および10日目にNmAbを皮下注射し、抗体投与後の24時間以内に多数の組織でNmAbの全身分布を定量した。抗体を投与していないサルでは、ウイルス曝露後1日目までに、複製中のウイルスが多数の組織で見つかった。NmAbを投与したサルは全て、曝露後6カ月の時点で血液および組織中にウイルスは認められなかった。解剖の際には、血液もしくは組織中で抗SHIV T細胞応答は検出されず、またCD8+T細胞枯渇後にもウイルスは出現しなかった。これらの結果は、早期の受動免疫療法が初期のウイルス巣を除去でき、それによってウイルスリザーバーの確立を阻止できることを示唆している。