Review
自閉症:自閉症発症機序の遺伝学による解明の進展
Nature Medicine 22, 4 doi: 10.1038/nm.4071
自閉症スペクトラム(ASD)の遺伝学的病因の理解が進んだことは、その神経生物学的機序と思われるものの解明の著しい進歩につながった。しかし同時に、こうした遺伝学的知見によってはっきりしたのは、ASDの原因が分子レベルから脳内回路レベルに至るさまざまなレベルで異例の多様性と複雑性を示すことである。また、現在の我々の知識に空白部分があることも明確になった。本総説では、ASDの遺伝的構造に関して現在までに分かっていることを概説し、遺伝学的根拠、神経病理学的性質やモデルでの研究と、それらがASDの病態生理のさまざまな機構モデルにもたらす情報をまとめる。ASDは非常な難問だが、こうした研究の進展は合理的な分子標的治療法開発のための確かな基盤となる。