ワクチン：Nod2を介した微生物相の認識はコレラ毒素の粘膜アジュバント活性に不可欠である

コレラ毒素（CT）は、粘膜免疫応答を誘導するための強力なアジュバントである。だが、CTがアジュバント活性を誘導する機序は明らかになっていない。本論文では、鼻腔内免疫後の抗原特異的IgG産生に微生物相が不可欠であることを示す。CTを用いた粘膜ワクチン接種後、抗生物質を投与したマウスおよび無菌（GF）マウスでは共に、抗原特異的IgG量の低下、リコール刺激によるサイトカイン応答の減弱、濾胞ヘルパーT（T_FH）細胞応答の障害および形質細胞数の減少が観察された。インテグリンCD11c （Itgaxにコードされる）を発現している細胞でのNod2（nucleotide-binding oligomerization domain containing 2）センサーを介した共生細菌の認識が、CTのアジュバント性に必要だった。Nod2アゴニスト、もしくは高いNod2刺激活性を持つStaphylococcus sciuriの単一定着によるGFマウスの再構築はロバストなCTアジュバント活性の促進に十分だったが、Nod2刺激活性が低い細菌ではこのような促進は起こらなかった。機構としては、樹状細胞でNod2が仲介するサイトカイン産生を、CTが細胞内サイクリックAMPを介して増強していた。今回の結果は、CTの粘膜アジュバント活性の促進における微生物相と細胞内受容体Nod2の役割を明らかにしている。