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肝疾患:マウスでRNA干渉によって誘発される肝毒性は、マイクロRNA122の最初に合成されたアイソフォームの喪失から生じる

Nature Medicine 22, 5 doi: 10.1038/nm.4079

小分子RNAは疾患原因遺伝子の発現や感染性ウイルスを標的として排除するように設計できるため、このような小分子RNAを用いたRNA干渉(RNAi)薬の前臨床および臨床開発が行われることになった。RNAi薬が確実に成功するためには、小分子ヘアピンRNA(shRNA)が正常の細胞機能を妨害することなく、効率的に遺伝子ノックダウンを行うのに十分な量の内在性マイクロRNA装置を取り込む必要がある。我々は以前、shRNAを発現する組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクター(rAAV-shRNA)を大量投与されたマウスで、肝細胞代謝、遺伝子抑制の消失、致死などの肝毒性を観察したが、毒性が生じる機序は明らかにならなかった。今回我々は、外来性shRNAが肝臓のマイクロRNA総量の12%を超えると肝毒性が生じることを、rAAV-shRNAを使って明らかにした。この閾値を超えると、shRNAは他のマイクロRNAに大きな影響を与えることなく、マイクロRNA(miR)-122-5pの最初に合成される22ヌクレオチドのアイソフォームを特異的に減少させ、その結果としてmiR-122の標的であるmRNAの機能の脱抑制が生じる。成熟miR-122-5pを発現するrAAV-shRNAベクターを送達してやると、外来性のshRNAがマイクロRNAの70%に達するにもかかわらず、毒性が回避された。また、Mir122ノックアウトマウスでは、shRNAのレベルあるいは配列にかかわらず毒性は観察されなかった。我々の研究は、治療用siRNAが利用できるマイクロRNA装置の限界を確立し、マウスでの肝臓恒常性にmiR-122が果たす役割に関する新たな考え方を示唆している。

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