Perspective

がん:がん遺伝子によって発症した固形がんでの残存病変の理解と標的化の枠組み

Nature Medicine 22, 5 doi: 10.1038/nm.4091

分子標的療法はがん患者の生存率を大幅に改善する可能性がある。しかし、進行した固形がんの患者では、標的療法に対して完全で長期間持続する応答が生じることはまれである。最も有効性の高い標的療法であっても、腫瘍の完全な応答を引き出すことは一般的に少なく、その結果病変が残存したり、腫瘍が進行したりし、それが患者の生存率向上を制限している。残存病変を最小限にする、あるいは除去する治療戦略を設計して、進行した固形がんを持つ患者の病態を一時的あるいは長期的に制御し、さらには治癒に移行させる前段階として、残存病変の分子基盤をより深く解明する必要性は高まりつつあり、本稿ではこの問題について論じる。また、獲得された薬剤耐性を解析してからそれに対処するという、現在の事後対応的な方式による治療法を、「残存病変を生じさせる機序を解明する」という先制攻撃的な方式へと変え、残存病変の原因となるリザーバーを標的として制限するという企てについて考察する。

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