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HIV:SIVmac251感染リスクの自然免疫および適応免疫におけるアジュバント依存的シグネチャー
Nature Medicine 22, 7 doi: 10.1038/nm.4105
アベンティスパスツール社カナリア痘ベクター(ALVAC)-HIVとgp120アラムを含む組換えワクチンは、RV144ワクチン試験でHIV感染リスクを低下させた。そして次段階のヒトでの有効性試験のために、アラムをより免疫原性の強いMF59アジュバントへ置換することが現在検討されている。今回我々は、ALVAC-サル免疫不全ウイルス(SIV)とgp120アラムからなる同等ワクチン(ALVAC-SIV + gp120)はアカゲザルでSIVmac251による発症を遅らせる効果があったが、ALVAC-SIV + gp120 MF59ワクチンはアジュバントに高い免疫原性があるにもかかわらず、発症遅延効果がないことを見いだした。ワクチンの有効性はMF59誘導性ではなく、アラム誘導性のエンベロープ(Env)依存的粘膜自然リンパ球〔ILC、インターロイキン(IL)-17を産生する〕と、gp120可変領域2(V2)に対する粘膜IgGと12個の遺伝子(そのうちの10個はRAS経路の一部である)の発現とに関連していることが分かった。RAS活性化とワクチンの有効性の間の関連は、有効なSIVワクチンを使った、これとは無関係の実験でも認められた。RAS活性化、粘膜ILCとV2に対する抗体も、ヒトでのHIVワクチン有効性に重要かどうかについては、さらなる研究が必要である。