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糖尿病:コリプレッサーGPS2の喪失は肥満や2型糖尿病により誘導される代謝ストレスの際にマクロファージ活性化を起こしやすくする

Nature Medicine 22, 7 doi: 10.1038/nm.4114

肥満者と非肥満者では、インスリン抵抗性と2型糖尿病(T2D)発症に対する感受性が異なっている。この違いは、肥満の進行とともに生じる脂肪組織(AT)の炎症の程度に関連している可能性がある。マクロファージ活性化は、ATの炎症、従ってその機能不全の程度の決定に中心的役割を果たし、このような状態は遺伝子発現と関連するエピゲノム変化によって引き起こされる。しかし、こうした変化を調節する基盤となる機構はよく分かっていない。今回我々は、GPS2(G protein pathway suppressor 2)を含むコリプレッサー複合体が、代謝ストレスによる活性化の際のマクロファージのエピゲノム制御に重要な役割を持つことを明らかにする。肥満者および非肥満者のATを調べて、マクロファージでのGPS2発現低下、全身およびATでの炎症の進行と糖尿病状態が相関することが明らかとなった。これらの相関の因果関係は、マクロファージ特異的Gps2ノックアウト(KO)マウスを用いることにより確認され、このマウスではコリプレッサー複合体機能が不適切なためにエンハンサー活性化、炎症誘発性遺伝子の発現と代謝ストレスシグナルに対する過感受性が引き起こされた。対照的に、2種類の肥満マウスモデル(ob/obおよび食餌誘発性肥満)にGPS2過剰発現骨髄を移植してやると炎症が軽減され、インスリン感受性が改善された。従って、我々のデータはマクロファージでのコリプレッサー依存性エピゲノム変化とATの炎症およびT2D発症を結びつける、おそらくは可逆的な疾患機序を明らかにしている。

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