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喘息:喘息関連IL4Rバリアントは制御性T細胞からTH17様細胞への転換を促進することで気道炎症を増悪する
Nature Medicine 22, 9 doi: 10.1038/nm.4147
喘息で制御性T(Treg)細胞が炎症を調節できなくなる機序はよく分かっていない。我々は、インターロイキン4(IL-4)受容体アルファ鎖をコードする遺伝子における重症の喘息と関連する多型(Il4raR576)が、誘導性Treg(iTreg)細胞の17型ヘルパーT(TH17)細胞運命への転換を促すことを示す。この偏りには、アダプタータンパク質GRB2(growth-factor-receptor-bound protein 2)のIL-4RαR576による動員が関わっていて、GRB2は細胞外シグナル調節キナーゼ、IL-6および転写因子STAT3が関与する経路の活性化によってIL-17発現を誘導する。Il6raおよびRorc(RAR-related orphan receptor gamma)などのTH17細胞分化を調節する遺伝子をTreg細胞特異的に欠失させると、Il4raR576を発現するマウス(以後Il4raR576マウスと呼ぶ)で気道炎症の憎悪が防がれたが、Il4やIl13の欠失ではこうした影響は見られなかった。さらに、Il4raR576マウスにIL-6特異的中和抗体を投与すると、iTreg細胞のTH17様細胞への再プログラム化が防がれ、重篤な気道炎症が起こりにくくなった。これらの知見は、喘息が重症化しやすい遺伝的傾向を持つヒト個体でTH2-TH17細胞が混ざり合った炎症が発生する際のこれまで知られていなかった機序を明らかにしており、またiTreg細胞を安定化する介入法が治療戦略として有効と考えられることを示している。