Article

炎症:NOX4依存的な脂肪酸酸化はマクロファージでNLRP3インフラマソーム活性化を促進する

Nature Medicine 22, 9 doi: 10.1038/nm.4153

代謝の変化は炎症性疾患の病因と関係があるとされている。NOX4(NADPH oxidase 4)は細胞性スーパーオキシドアニオンの供給源の1つであり、炎症、また糖尿病などのヒト代謝性疾患の病因に重要であると考えられている多数の生物機能を担っている。しかし、NOX4依存的な代謝調節が自然免疫応答に影響を及ぼす機序は明らかになっていない。今回我々は、NOX4の欠損が、脂肪酸酸化(FAO)経路の重要なミトコンドリア酵素であるカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1A(CPT1A)の発現低下につながることを示す。FAOの低下は、ヒトおよびマウスのマクロファージで、NLRP3〔nucleotide-binding domain, leucine-rich-repeat-containing receptor(NLR), pyrin-domain-containing 3〕インフラマソームの活性化レベル低下を引き起こした。これに対してNOX4の欠損は、NLRファミリーのNLRC4(CARD-domain-containing 4)、NLRP1もしくはAIM2(absent in melanoma 2)インフラマソームの活性化を阻害しない。また、エトモキシル投与によるFAOの阻害が、NLRP3インフラマソーム活性化を抑制することが分かった。さらに、Nox4欠損マウスでは、カスパーゼ1活性化やインターロイキン1β(IL-1β)とIL-18の産生の大幅な減少が見られ、またNLRP3媒介性肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)感染のマウスモデルでは生存率が改善した。GKT137831(現在第2相臨床試験中)、あるいはVAS-2870によるNOX4の薬理学的阻害は、NLRP3インフラマソーム活性化を減弱させた。我々の結果は、NOX4を介したFAOがNLRP3インフラマソーム活性化を促進することを示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度