Article

抗サイトカイン自己抗体:マイコバクテリア感染症患者で抗インターフェロンγ自己抗体が結合する主要エピトープの同定

Nature Medicine 22, 9 doi: 10.1038/nm.4158

マイコバクテリア感染症患者で見られるインターフェロンγ(IFN-γ)への自己抗体の結合は、医学上の新たな懸念となっている。多くの患者が特別なヒト白血球型抗原(HLA)クラスIIハプロタイプを示し、これは共通のT細胞およびB細胞に依存する機構が特異的抗IFN-γ自己抗体産生の基盤となっていることを示唆している。今回我々は、このような自己抗体がIFN-γ受容体(IFN-γR)活性化に重要な領域の主要なエピトープ(アミノ酸121-131、P121-131と表記)を標的にしてIFN-γを介する複数の活性を障害することを示す。このエピトープのアミノ酸配列は、コウジカビ属(Aspergillus spp.)のNoc2タンパク質の一部分と相同性が高く、このタンパク質は患者由来の自己抗体と交差反応性であった。AspergillusNoc2で免疫したラットは、ヒトIFN-γに反応する抗体を産生した。我々は主要な中和エピトープ領域を変化させ、IFN-γのエピトープ消去変異体(EE-IFN-γ)を作製した。抗IFN-γ自己抗体のEE-IFN-γに対する結合親和性は、IFN-γ1-131に対する親和性と比較すると、約40%にまで低下した。さらに、EE-IFNγはex vivoで抗IFN-γ自己抗体とは無関係にIFN-γR下流シグナル伝達経路を活性化した。これらの結果は、患者の抗IFN-γ自己抗体に結合する一般的で重要なB細胞エピトープを明らかにしたもので、我々は自己抗体生成の分子模倣モデルを提案する。また、抗IFN-γ自己抗体を産生する患者でのEE-IFN-γを使う治療については、さらに調べる価値があるだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度