Review

がん:がんでのスプライシングを治療標的とする

Nature Medicine 22, 9 doi: 10.1038/nm.4165

がんではスプライシングのパターンがしばしば変化しており、スプライソソームのタンパク質をコードする遺伝子の変異や、主要ながん関連遺伝子のスプライシングに影響を及ぼす変異が増加していることが、最近の研究ではっきりしてきた。同時に、がんのいくつかの分子サブタイプが細胞の生存に関してスプライシング機能に強く依存していることを示す証拠も増えてきている。これらの知見により、がんの治療研究分野では、スプライシング触媒作用やスプライシング調節タンパク質、あるいは特定の重要なスプライシング現象の変化を標的とすることへの関心が高まってきている。本総説では、がんで見られるスプライソソームへの依存性の変化や異常なスプライシングを標的とする既存および開発中の戦略について述べる。これらの例としては、生存に関して野生型スプライシングに選択的な依存性を示すがんサブタイプでスプライシングを包括的に標的とする薬剤や、スプライシング調節タンパク質の翻訳後修飾を変化させる方法、がんでの異常なスプライシング現象やタンパク質RNA間相互作用を修飾する戦略などが挙げられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度