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がん治療:ヒストンメチルトランスフェラーゼEZH2の喪失は急性骨髄性白血病で多剤耐性を誘導する

Nature Medicine 23, 1 doi: 10.1038/nm.4247

急性骨髄性白血病(AML)では治療耐性が生じることが多く、これが患者の高い死亡率につながる。しかし、白血病細胞を治療耐性とする機構はほとんど分かっていない。今回我々は、ヒストンメチルトランスフェラーゼEZH2の喪失と、それに続いて起こるヒストンH3K27のトリメチル化減少が、AMLでチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)や細胞毒性薬に対する獲得耐性を引き起こす新規経路であることを突き止めた。EZH2タンパク質レベルの低下は、AML患者の予後不良と相関していた。AML細胞株および初代培養細胞でEZH2タンパク質の発現を抑制すると、in vitroおよびin vivoで化学療法耐性が誘導された。耐性を示す細胞でのEZH2レベルの低下はHOX遺伝子の脱抑制を引き起こし、耐性細胞ではHOXB7およびHOXA9のノックダウンだけでTKIや細胞毒性薬に対する感受性改善に十分であった。耐性細胞や再発AML患者の一部に由来する初代芽球でのEZH2の内因的喪失は、EZH2のThr487のCDK1に依存したリン酸化亢進が原因であった。薬剤耐性細胞では、この相互作用が熱ショックタンパク質90(HSP90)によって安定化され、これに続いてEZH2のプロテアソームによる分解が起こった。それゆえ、HSP90、CDK1およびプロテアソームの阻害剤はEZH2分解を阻止し、HOX遺伝子発現を低下させ、薬剤に対する感受性を回復させた。さらに、標準療法に進んだ段階でEZH2レベルが低下している患者は、ボルテゾミブとシタラビンの併用療法に応答し、それに伴ってEZH2発現と芽球除去が再確立された。これらのデータは、EZH2レベルが低下しているAML患者集団では、EZH2タンパク質量の回復が治療耐性克服に向けた実行可能な手法であることを示唆している。

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