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がん:ACTRT1とそのエンハンサーのRNAエレメントに生じた変異は遺伝性と孤発性の基底細胞がんでヘッジホッグシグナル伝達の異常な活性化を引き起こす

Nature Medicine 23, 10 doi: 10.1038/nm.4368

基底細胞がん(BCC)は最も広く見られるヒトがんで、ヘッジホッグシグナル伝達経路の異常な活性化から生じる。BCC症例のほとんどは孤発性だが、一部はBazex–Dupré–Christol症候群(BDCS)のように遺伝性である。BDCSはがん化しやすいX連鎖性の優性遺伝パターンをもつ遺伝性皮膚症である。今回の研究で調べられたBDCSを発症する6つの家系のうちの2つで、アクチン関連タンパク質T1(ARP-T1)をコードするACTRT1遺伝子に変異が生じていることが分かった。残りの4家系について行ったハイスループット塩基配列解読では、ACTRT1周囲の非コード配列中に生殖細胞系列変異が見つかった。これらの変異は、エンハンサーRNA(eRNA)をコードする転写配列内に位置し、エンハンサー活性やACTRT1の発現に異常が見られた。ARP-T1はGLI1プロモーターに直接結合し、これによってGLI1の発現を阻害し、さらにARP-T1の喪失はBDCS患者でのヘッジホッグ経路の活性化につながる。また、外来性ACTRT1の発現は、in vitroin vivoでヘッジホッグシグナル伝達経路が異常活性化した細胞系列の増殖速度を低下させた。まとめると、我々の研究は非コード調節エレメントに生じた変異が関わるBCCの疾患機構を突き止めたもので、さらにACTRT1の腫瘍抑制特性も明らかにしている。

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