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肥満:GDF15の代謝への影響はオーファン受容体GFRALを介している

Nature Medicine 23, 10 doi: 10.1038/nm.4393

GDF15(growth/differentiation factor 15:別名MIC-1)は、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーの遠縁のメンバーで、がん悪液質、腎不全、心不全、アテローム性動脈硬化や代謝などの多様な生物学的機能に関わっているとされてきた。GDF15と体重調節の間のつながりが最初に示唆されたのは、進行前立腺がん患者の血清GDF15レベルの上昇と体重減少とが相関するという観察に基づくものであった。動物モデルでは、GDF15の過剰発現は痩せ表現型や食欲不振、また代謝パラメーターのその他の改善につながるため、組換えGDF15タンパク質が肥満や2型糖尿病の治療に使用できるのではないかと考えられている。しかし、GDF15のシグナル伝達経路や作用機構は、同族受容体であることが確実なタンパク質がまだ見つかっていないため、ほとんど解明されていない。今回我々は、GFR-αファミリーのオーファン受容体であるGFRAL(GDNF-family receptor α-like)がGDF15の高親和性受容体であることを報告する。GFRALはin vitroでGDF15に結合し、in vivoではマウスの体重および食餌摂取量に関するGDF15の代謝的作用に必要とされる。Gfral−/−マウスは、ヒト組換えGDF15の体重、食餌摂取量、グルコースパラメーター群に及ぼす影響に抵抗性だった。GDF15とGFRALの間の相互作用をモノクローナル抗体により阻害すると、ラットでGDF15の代謝への影響が妨げられた。Gfral mRNAは、マウス、ラット、サルの最後野で高発現していて、これはGDF15の代謝作用に脳の最後野が関与しているとするこれまでの報告と一致している。まとめると今回のデータは、GFRALがGDF15の受容体であり、GDF15の代謝への影響を仲介していることを実証している。

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