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がん:血管周囲細胞のKLF4に依存する可塑性は前転移ニッチの形成と転移を達成させる

Nature Medicine 23, 10 doi: 10.1038/nm.4400

患者の生存率を改善する新たな治療法の開発には、転移過程をより詳細に解明することが必要である。転移性腫瘍細胞の遠位器官での増殖と生存は前転移ニッチの形成により促進され、こうしたニッチを構成するのは造血細胞、間質細胞および細胞外マトリックス(ECM)である。血管平滑筋細胞(vSMC)や周皮細胞などの血管周囲細胞は、新たな血管形成や、幹細胞の維持・増殖の促進に関わっている。血管周囲細胞の可塑性はよく調べられていて、これからすると血管周囲細胞は転移部位でも同様に腫瘍細胞の運命を調節するのではないかと我々は考え、血管周囲細胞特異的、および周皮細胞特異的な細胞系譜追跡モデルを用いて、前転移時および転移時の微小環境における血管周囲細胞の運命を追跡した。血管周囲細胞では腫瘍から分泌される因子に応答して従来のvSMCマーカーや周皮細胞マーカーの発現が失われ、増殖や移動、ECM合成が亢進することが分かった。表現型が切り替えられたこのような血管周囲細胞では、多能性遺伝子Klf4の発現増加によって、ECM産生の増大を特徴とする低分化状態が増進され、フィブロネクチンに富む転移促進性の環境が確立された。血管周囲細胞でKlf4を遺伝学的に不活性化すると、前転移ニッチ形成と転移が低下した。我々のデータは、前転移ニッチ形成における血管周囲細胞のこれまで知られていなかった役割を明らかにし、転移を制限する新たな戦略を示すものである。

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