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がん:長鎖非コードRNAのEGFR-AS1は上皮増殖因子受容体依存を仲介し、扁平上皮がんでの治療応答を修飾する

Nature Medicine 23, 10 doi: 10.1038/nm.4401

扁平上皮がん(SCC)でのEGFRを標的とする治療は有効性が立証されているが、応答を予測するためのバイオマーカーとして確立されているものはまだない。我々は、ゲフィチニブが著効した2人の頭頸部SCC(HNSCC)患者でEGFRの同義変異(p.Gln787Glnをコードするc.2361G > A)を見つけ出し、患者由来の培養細胞を用いて、A/A遺伝子型はG/AやG/G遺伝子型と比べた場合、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)に対するより高い感受性と関連していることを明らかにした。同遺伝子型モデルで単一コピーG > Aヌクレオチド編集を行うと、EGFR-AS1長鎖非コードRNA(lncRNA)の安定性の低下によって薬剤感受性が70倍に増大した。こうした感受性は、適切な状況下ではin vitroin vivoでのEGFR-AS1のノックダウンによって再現可能であるのに対して、EGFR-AS1の過剰発現はそれだけでTKIに対する抵抗性を誘導した。EGFR-AS1レベルを低下させると、EGFRアイソフォームDを増やすようなスプライシングが増えて、リガンドを介した経路活性化が引き起こされた。患者および患者由来異種移植片(PDX)モデルによる並行臨床試験では、EGFR-Q787QのA/A遺伝子型、EGFR-AS1低発現およびEGFRアイソフォームD高発現という条件の際に最も著しい腫瘍退縮が見られた。今回の研究は、「サイレント」変異がlncRNAのレベルに影響し、非カノニカルなEGFR依存の原因となることを示したもので、EGFR TKIへの応答に関する新たな予測的バイオマーカーのセットを明らかにしている。

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