Review
白血病:白血病におけるクローン進化
Nature Medicine 23, 10 doi: 10.1038/nm.4410
ヒト白血病は液性悪性腫瘍で、形質転換した造血前駆細胞による骨髄のびまん性浸潤を特徴とする。腫瘍細胞が末梢血あるいは骨髄穿刺液から得られることは、がんゲノミクスや単一細胞分子解析の最近の進歩と相まって、クローン集団や時間と共に進むその遺伝学的およびエピジェネティックな進化についてのこれまでになく詳細な研究を助けてきた。これらの解析の結果から、白血病がクローン性の均一なびまん性腫瘍であるという従来の考えに疑問が投げ掛けられるようになり、疾患についてはより複雑で動的なシナリオが採り入れられている。本総説では、リンパ性および骨髄性の白血病でのクローン進化は、腫瘍の開始、疾患の進行と再発のドライバーとしての役割を担っているとする現在の考え方を示し、このような考え方が白血病の形質転換や治療抵抗性に関わる進化機構についての我々の理解に及ぼす影響についても論じる。