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肥満:交感神経ニューロン関連マクロファージはノルエピネフリンの取り込みと代謝により肥満の一因となっている
Nature Medicine 23, 11 doi: 10.1038/nm.4422
ノルエピネフリン(NE)を介した熱産生調節とマクロファージをつなぐ細胞機構については、論争が続いている。我々は、交感神経ニューロン関連マクロファージ(SAM)が、NE輸送体であるSLC6A2(solute carrier family 6 member 2)とNE分解酵素であるモノアミンデオキシダーゼA(MAOA)の発現を介してNEの除去を仲介する細胞集団であることを突き止めた。交感神経系を光遺伝学の方法により活性化すると、SAMによるNE取り込みが増加し、SAMのプロファイルが炎症促進性がより強い状態へと移行する。SAMによるNE取り込みは、Slc6a2の遺伝学的欠失や、Slc6a2がコードする輸送体の阻害により妨げられる。また、2種類の肥満マウスモデルの交感神経系では、SAMの割合が増加していた。SAMのSlc6a2を遺伝学的に除去すると、褐色脂肪組織(BAT)含量が増加し、白色脂肪の褐色化、熱産生増大、また肥満マウスでの大幅で持続的な体重減少が引き起こされた。ヒトの交感神経神経節にもNE除去を行うためのこれに似た分子装置を発現するSAMが存在するので、この経路は保存されていることが分かった。従ってこの経路は、肥満治療の標的候補となると考えられる。