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がん治療:lncRNA MIR100HGに由来するmiR-100とmiR-125bはWnt/βカテニンシグナル経路を介してセツキシマブ抵抗性を仲介する
Nature Medicine 23, 11 doi: 10.1038/nm.4424
de novo抵抗性と獲得抵抗性は大部分が遺伝子変化によるもので、効果の高い抗EGFR(epidermal growth factor receptor)治療の妨げとなっている。我々はセツキシマブ抵抗性細胞を作り出すために、セツキシマブ感受性の大腸がん細胞を三次元培養中でセツキシマブに曝露した。次いで全エキソーム塩基配列解読と転写プロファイリングを行い、長鎖非コードRNAのMIR100HGとそれに含まれる2種類のマイクロRNAであるmiR-100とmiR-125bが、セツキシマブ抵抗性と結びついている既知の遺伝学的事象なしで、過剰発現していることを見いだした。MIR100HG、miR-100およびmiR-125bの過剰発現は、セツキシマブ抵抗性の大腸がんや頭頸部扁平上皮がん細胞株、およびセツキシマブ投与下で進行した大腸がん患者の腫瘍でも見られた。miR-100とmiR-125bは協調して働いて、Wnt/βカテニンシグナル経路の負の調節因子5つを抑制し、その結果としてWntシグナル伝達が亢進した。また、セツキシマブ抵抗性細胞でWntを阻害すると、セツキシマブ応答性が回復した。我々の結果は、MIR100HGと転写因子GATA6の間に、二重の負のフィードバックループ(GATA6はMIR100HGを抑制するが、この抑制はGATA6を標的とするmiR-125bにより解除される)があることを示している。以上の知見は、セツキシマブ抵抗性のエピジェネティックな原因を明らかにしていて、これは治療標的として使用できると考えられる。