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老化:特定のインフラマソーム遺伝子モジュールの発現によって、高齢者は二極的な臨床的・免疫的状態に分類される
Nature Medicine 23, 2 doi: 10.1038/nm.4267
軽度な慢性炎症は老化に関連する多くの疾患と関係づけられてきたが、この炎症を生じさせる機序は明らかではない。インフラマソームは感染症や細胞ストレスのような状況下で慢性炎症を誘導し、インターロイキン1β(IL-1β)の成熟を引き起こすことがある。我々は、特定のインフラマソーム遺伝子モジュールの発現によって高齢者が両極的な2つのグループに分類されることを見いだした。1つは、IL-1βの構成的な発現、ヌクレオチド代謝機能の異常、酸化ストレス増大、高い高血圧罹患率と動脈壁硬化を伴うグループ、もう1つは、IL-1βの構成的な発現が見られず、上記のような特徴が認められないグループである。第1番目のグループの血中で検出されるアデニン、N4-アセチルシチジンなどのヌクレオチド由来代謝産物は、マウスでNLRC4インフラマソームのプライミングと活性化を引き起こし、IL-1βの産生を誘導して血小板や好中球を活性化し、血圧を上昇させる。85歳以上の被験者では、インフラマソーム遺伝子モジュールの発現上昇は全死因死亡率と関連していた。従って、インフラマソーム構成因子を標的とすることは、慢性炎症などの老化に関わる多様な病態を改善する可能性がある。