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免疫:JNK1は真菌に対する自然免疫応答をCD23発現の抑制により負に制御する
Nature Medicine 23, 3 doi: 10.1038/nm.4260
日和見真菌感染は免疫低下状態の患者の主要な死因の1つであり、現在使われている抗真菌薬には毒性や耐性があるため、新しい抗真菌治療薬の開発が緊急に求められている。C型レクチン受容体やToll様受容体によって誘導されるシグナル伝達経路は宿主の抗真菌免疫の重要な活性化因子だが、真菌感染に対する宿主免疫応答を負に制御する機構はほとんど明らかになっていない。今回我々は、JNK1の活性化がマウスで抗真菌免疫を抑制することを見いだした。JNK1欠損マウスは、真菌の一種であるCandida albicans感染に対する生存率が、野生型の対照マウスに比べて顕著に高いことが明らかになり、また造血系の自然免疫細胞でのJNK1の発現がこうした違いに重要であることが分かった。JNK1を欠損させると、新規なC型レクチン受容体であるCD23の著しく高い発現が誘導され、これはNFATc1によるCD23遺伝子プロモーターの調節を介して起こる。CD23の発現上昇、あるいはCD23に依存する一酸化窒素産生を阻害すると、JNK1欠損マウスで見られた強い抗真菌応答が消失した。また、JNK阻害剤はC. albicansに感染したマウスおよびヒト細胞の両方で強力な抗真菌治療効果を発揮した。このことはJNK1が真菌感染に対処するための治療標的となる可能性を示している。