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肝炎:CFLARタンパク質のターゲッティングはマウスと非ヒト霊長類で非アルコール性脂肪性肝炎を軽減する

Nature Medicine 23, 4 doi: 10.1038/nm.4290

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は進行性の疾患で、メタボリックシンドロームを同時発症することが多く、重篤な肝損傷を引き起こすリスクが高い。しかし現在のところ、NASHに有効な薬物療法はない。本論文では、CFLAR(CASP8 and FADD-like apoptosis regulator)が、脂肪性肝炎とそれに伴う代謝異常の重要な抑制因子であることを報告する。CFLARはキナーゼのMAP3K5(別名ASK1)を直接の標的とし、ASK1のN末端を介する二量体形成を妨げることで、ASK1およびMAPK8(別名JNK1)が関わるシグナル伝達を遮断するという機構を示す証拠が得られた。さらにCFLAR内に、マウスとサルの両方で脂肪性肝炎および代謝異常の進行を効果的に抑える小型のペプチド領域があることも明らかになった。このペプチドはアデノ随伴ウイルス8を使ったベクターによって導入し発現させるとASK1のN末端を介する二量体形成を阻害する。まとめると、今回得られた知見は、CFLARが脂肪性肝炎の重要な抑制因子であることを確証するもので、CFLARペプチドを模倣する薬剤の開発やASK1二量体の形成を特異的に阻止する低分子阻害物質のスクリーニングが、NASH治療のための実現可能な新しい手法であることを示している。

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