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脂質代謝:代替的に活性化されたマクロファージはカテコールアミンを合成せず、脂肪組織の適応熱産生に寄与していない

Nature Medicine 23, 5 doi: 10.1038/nm.4316

適応熱産生は、寒冷刺激に対する応答での熱産生過程である。この過程は交感神経系の調節を受けており、交感神経系の主要なエフェクターはカテコールアミンの1つのノルエピネフリン(NE)である。NEは、β3アドレナリン作動性受容体を介する褐色脂肪組織の活性化や白色脂肪組織の褐色化によって熱産生を増強する。最近の研究では、インターロイキン4(IL-4)刺激への応答として起こるマクロファージの代替的活性化が、カテコールアミン合成経路の重要な酵素であるチロシンヒドロキシラーゼ(TH)の発現を誘導し、この活性化が熱産生過程で局所的に産生されるカテコールアミン類のもう1つの供給源となっていることが報告されている。本論文では、成体マウスの造血細胞でThを欠失させても、寒冷曝露の際のエネルギー消費量は変化せず、また鼠径部脂肪組織での褐色化も減少しないことを報告する。骨髄由来のマクロファージはIL-4刺激に対してNEを放出せず、またIL-4で刺激したマクロファージで馴化したならし培地は、それで培養した脂肪細胞にUcp1(uncoupling protein 1)などの熱産生遺伝子の発現を誘導することができなかった。さらにIL-4を慢性的に投与しても野生型マウス、Ucp1−/−マウス、およびIL-4受容体α遺伝子欠損マウス(Il4ra−/−)でエネルギー消費量の増加は見られなかった。これらの知見と一致して、脂肪組織に常在するマクロファージはTHを発現していなかった。従って、代替的に活性化されたマクロファージはそれに応じた量のカテコールアミン類を合成することはなく、それゆえ脂肪細胞の代謝や適応熱産生に直接的な役割を担っていないであろうと我々は結論する。

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