Letter
HIV:骨髄系のみをヒト化したマウスでの抗レトロウイルス療法の間に組織マクロファージで見られたHIV存続
Nature Medicine 23, 5 doi: 10.1038/nm.4319
数年間にわたって完全抑制的な抗レトロウイルス療法(ART)を行っても、HIVはその宿主体内に存続し、根絶されることがない。根絶を妨げる主な障壁の1つは、それぞれがウイルス存続に関わる複数の細胞種にHIVが感染することである。組織マクロファージは、HIVの病原性に関わる非常に重要な細胞である。しかしながら、長期にわたる抑制性ARTの間のHIV存続におけるその特異的役割は明らかになっていない。我々は骨髄系のみをヒト化したマウス(MoM)を用いて、組織マクロファージのHIV感染がARTによって迅速に抑制されることを明らかにした。これは血漿ウイルス負荷の速やかな低下と細胞内ウイルスRNAおよびウイルスDNAのレベルの急激な減少によって示される。ART中断後7週間目で、ART処置マウスの67%の血漿中ではウイルスの再増殖は認められず、これらの動物から得た組織マクロファージからは複製可能ウイルスは回収されなかった。これとは対照的に、一部のマウス(~33%)では遅延型のウイルス再増殖が認められ、これは組織マクロファージ中の持続感染の成立と一致する。これらの知見は、in vivoの組織マクロファージでのHIV存続に関する、我々の知る限りで最初の直接的証拠である。