Perspective
がん治療:自己免疫はがん免疫療法の唯一の弱点か
Nature Medicine 23, 5 doi: 10.1038/nm.4321
がん免疫療法は、転移性がんに対して広く成功を収めた最初の治療法である。このことが明らかになった今、臨床ではこの新しい重要な治療法を化学療法、放射線療法や標的小分子化合物などと統合することが必要となるだろう。これと同じく重要なもう1つの問題は、免疫療法の限界や毒性の解明である。免疫療法は当初、がんの治療法として利用可能な他の方法に比べると毒性が比較的低いと考えられていた。他の方法と比較した場合には、確かにそうである。しかし、免疫療法が普及し、特に第一選択や第二選択の治療法として使われるようになった現在、免疫毒性や自己免疫が免疫療法の「アキレスのかかと」、つまり数少ない弱点であることが明らかになりつつある。本稿では、免疫毒性の出現は患者によって良い前兆であるとする証拠について論じ、自己免疫の誘導と関連すると考えられる機構について述べる。さらに、免疫毒性を制限するための手法を探り、毒性軽減のために必要な研究や報告の将来的な方向性について論じる。