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心疾患:心-脳-腎ネットワークは組織マクロファージの活性化を介して心臓負荷への適応を制御している
Nature Medicine 23, 5 doi: 10.1038/nm.4326
心不全は、不十分な心機能を特徴とする複雑な臨床症候群である。心不全の発症と結果には、心臓の内因性の異常に加えて、他の臓器の機能障害や全身性因子の調節異常が大きな影響を及ぼす。今回我々は、心臓への過剰な圧負荷に対する適応応答を生じさせる際に、心臓と腎臓が協調して機能することを示す。心臓に過剰な圧負荷を受けたマウスでは、交感神経活性化が腎臓の集合管(CD)上皮細胞の活性化につながった。腎臓内の活性化したCD細胞、組織マクロファージ、内皮細胞の間の細胞間相互作用がサイトカインCSF2の分泌を引き起こし、それがさらに心臓に常在するLy6Cloマクロファージを刺激する。Ly6Cloマクロファージは過剰な圧負荷に対する心筋の適応応答に不可欠である。心臓への過剰な圧負荷に対する腎臓の応答は、腎臓の交感神経除去、アドレナリン作動性β2受容体遮断、あるいは転写因子KLF5のCD細胞特異的欠失によって起こらなくなった。さらに、アンフィレギュリンが心臓のLy6Cloマクロファージによって産生される非常に重要な心保護性メディエーターであることが突き止められた。我々の結果は、心臓負荷に対する適応に不可欠な心臓、脳、腎臓の間の動的な相互作用を明らかにしたもので、これは組織マクロファージと交感神経系の恒常性維持機能を明確に示している。