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がん:10,000人の患者の前向き臨床研究で行われた塩基配列解読から明らかになった転移がんの変異の全体像
Nature Medicine 23, 6 doi: 10.1038/nm.4333
腫瘍の分子プロファイリングは高精度腫瘍学の基本的な構成要素で、遺伝子や経路でのゲノム変化を明らかにでき、このような変化は治療標的となる可能性がある。組織学的に明確にされた多様な腫瘍タイプの全てにわたって頻発する標的化可能な変化が存在すること、また分子標的療法の種類が増加したことから、臨床に関係する遺伝子のプロファイリングを全ての種類のがんにわたって行えるような柔軟性のある包括的な手法が必要とされるようになった。我々は、包括的な測定手法であるMSK-IMPACTを使う大規模な前向き臨床研究で塩基配列解読を行うイニシアチブを確立し、これによって進行がんの患者10,000人以上からなる独自のコホートから腫瘍およびそれとマッチする正常組織の塩基配列データ、利用可能な病理学的および臨床的な注釈付けを集めた。これらのデータを用いて、臨床に関係する体細胞変異、新規のノンコーディング変化、および一般的なタイプの腫瘍と希少な腫瘍に共有される変異シグネチャーを明らかにした。患者は11%の割合でゲノム条件がマッチした臨床試験に登録された。今回得られた全ての結果は、新規バイオマーカーの発見、また希少な変化や腫瘍の種類についてのより詳細な研究を可能にするために公開されている。