Perspective

インスリン抵抗性:肥満と2型糖尿病でのインスリンの作用と抵抗性

Nature Medicine 23, 7 doi: 10.1038/nm.4350

栄養過剰は2型糖尿病に先立つ重要な症状である。栄養過剰はインスリン分泌を増加させるが、肝臓、骨格筋、脂肪組織でのインスリンの代謝作用を減弱させる。しかし、また別の研究では、肥満や糖尿病が発症する過程でこうした事象が起こるタイミングが不明であることが示されていて、代謝病についての我々の理解に潜む重要な欠落が指摘されている。ここでは、高インスリン血症、肥満とインスリン抵抗性の間の時期的および機構的なつながりについて、これらとは異なる見方や最近の結果を概説する。インスリンシグナル伝達カスケードの初期段階は大きな関心を集めているが、肥満におけるインスリン抵抗性は、これら初期段階の下流で主に生じているらしい。新しい知見でも、インスリン抵抗性は、肝臓、脂肪組織、膵臓、骨格筋の間の広範囲にわたる代謝的クロストークと結びつけられている。過去5年間にわたる研究の進歩によって、2型糖尿病治療の新しい治療戦略を開発するための有望と思われるアイデアが得られたが、それとともに難しい問題の存在も明らかになったのである。

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