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腎疾患:足細胞に存在するsuPAR、APOL1リスクバリアントおよびαvβ3インテグリンの三者複合体は慢性腎疾患を引き起こす
Nature Medicine 23, 8 doi: 10.1038/nm.4362
可溶性ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体(suPAR)は、慢性腎疾患(CKD)の発生と進行の独立した予測因子である。アポリポタンパク質L1(APOL1)遺伝子のバリアントであるG1とG2は、近年のアフリカ系祖先を持つヒトでCKDのリスク上昇と関連するが、参照対立遺伝子のG0には関連が見られない。今回我々は、独立した2つの大規模なコホートで、APOL1リスクバリアントと関連した腎機能低下が、血漿中のsuPARレベルに依存していることを示す。APOL1に関連したリスクはsuPARの低い患者では低下し、suPARレベルの高い患者では高まっていた。表面プラズモン共鳴研究から、suPAR、APOL1およびαvβ3インテグリンの間には高親和性の相互作用が存在することが明らかになり、APOL1タンパク質のバリアントのG1とG2は、suPAR活性化型αvβ3インテグリンに対して、APOL1 G0に比べるとより高い親和性を示すことが明らかになった。APOL1 G1あるいはG2は、マウスでsuPAR依存的にαvβ3インテグリンの活性化を増強し、マウスでsuPARに依存する形でタンパク尿を引き起こした。循環因子のsuPARとAPOL1 G1あるいはG2のαvβ3活性化に対する相乗効果は、CKDを引き起こす機構の1つである。