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筋疾患:1A型先天性筋ジストロフィーマウスモデルでのスプライシング異常を相同組換修復非依存的機構を用いて修正する

Nature Medicine 23, 8 doi: 10.1038/nm.4367

スプライス部位の異常は、メンデル遺伝病を引き起こす病因性変異の約10%を占めている。筋肉の構造タンパク質をコードする遺伝子は例外的にサイズが大きく、多数のエキソンから構成されるという特徴を持つため、神経筋疾患(NMD)の有病率は高い。疾患を引き起こすスプライス部位変異を修正するという治療目的でのゲノム編集は、相同組換え修復経路を介してのみ達成されているが、骨格筋などの分裂終了組織では極めて効率が悪い。今回我々は、非相同末端結合(NHEJ)を用いてスプライス部位の病因性変異を修正する方法について報告する。原理証明として、我々は重度の筋消耗と麻痺を特徴とする1A型先天性筋ジストロフィー(MDC1A)に着目し、MDC1Aのdy2J/dy2Jマウスモデルで、Lama2 mRNAのエキソン2の除去とLama2タンパク質の短縮が引き起こされるスプライス部位変異を修正した。CRISPR(clustered regularly interspaced short palindromic repeat)–Cas9ゲノム編集の構成要素を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)の全身送達により、変異を含むイントロン領域を除去すると同時に、NHEJを介して機能を備えたスプライス供与部位を作り出した。この戦略は、エキソン2を含んだLama2転写産物の生成と、完全長Lama2タンパク質の産生回復につながった。この治療を受けたdy2J/dy2Jマウスは、麻痺の兆候を示さず、筋肉の組織病理学的性質や機能に大きな改善が見られた。

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