Review
マラリア:抗マラリア薬抵抗性:寄生虫である熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の生物学的性質を臨床につなぐ
Nature Medicine 23, 8 doi: 10.1038/nm.4381
2000年代初頭にアルテミシニンをベースとする併用療法(ACT)が世界的に採用されたことは、薬剤抵抗性熱帯熱マラリアに対する有効性の高い治療に新時代が到来したことを告げるものだった。しかし現在、東南アジアの複数の国で、アルテミシニン(ART)誘導体およびACTで使われる併用薬への感受性が低下した寄生虫の出現とそれによる治療失敗率の上昇が報告されている。本総説では、抗マラリア薬の作用機構と抵抗性が生じる仕組みの解明における最近の進歩を概説し、また抵抗性と効果的に戦い、治療を最適化し、マラリア根絶を目指す世界規模の運動を進めるための新しい戦略について論じる。