Editorial リザーバーに隠された情報 2017年8月1日 Nature Medicine 23, 8 doi: 10.1038/nm.4387 HIVやジカウイルス、エボラウイルスなどのウイルスから、細菌や原虫、寄生蠕虫まで、実に多様な病原体がヒト宿主体内に潜伏し、しばらく経ってから細胞にストレスが加わった状態などを狙ってまた活性化する。最近の研究で、急性感染症と慢性感染症のどちらでも病原体は組織リザーバーで存続可能であり、後の疾患発症の源となることが明らかになっている。しかし、このような潜伏に共通する性質についてはほとんど検討されていない。病原体は、潜伏中に宿主の監視や根絶対策を回避するために、それぞれ独自の策略を使っている可能性もある。だが、宿主側の撃退法は病原体関連分子パターンの認識とシグナル伝達、抗原プロセシングと免疫による認識、あるいは細胞死など、急性感染と慢性感染に共通である。病原体によるin vivoリザーバー維持の類似点を明らかにし、潜伏性の誘発や病原体の再活性化に関わっている条件を突き止めることは、さまざまな種類の病原体の研究に大いに役立つと考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る