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骨粗鬆症:細胞老化を標的とすることでマウスの老化に伴う骨量減少を防止する

Nature Medicine 23, 9 doi: 10.1038/nm.4385

個体の老化は細胞老化の増大に関連しており、最終的には多数の共存症の発症を引き起こすと考えられている。今回我々は、老化に関連する骨量減少における老化細胞の役割を複数の方法、すなわち遺伝学的方法(老化細胞特異的に発現する誘導性カスパーゼ8をコードするINK-ATTAC「自殺」形質導入遺伝子の使用)、あるいは薬理学的方法(「老化細胞除去」化合物の使用)のどちらかを用いて老化細胞を除去することにより調べた。また、JAK阻害剤(JAKi)を用いて、老化細胞の炎症性セクレトームの産生を阻害した。骨量減少が確立している老化マウス(20~22か月齢)では、老化細胞でのINK-ATTACカスパーゼ8の活性化、あるいは2~4か月間の老化細胞除去剤もしくはJAKiの投与により、骨量や骨強度が溶媒投与マウスよりも増加し、また骨微小構造が改善された。老化細胞を標的とした際の有益な影響は、骨形成が溶媒投与マウスに比べて維持される(骨梁)か、高くなり(皮質骨)、骨吸収が低下したことによる。in vitro研究から、老化細胞の馴化培養液によって骨芽細胞の石灰化が障害され、破骨細胞前駆細胞の生存が上昇して、破骨細胞形成増加が引き起こされることが実証された。まとめるとこれらのデータは、老化に伴う骨量減少を引き起こす役割を老化細胞が持つことを確証し、また、これらの細胞を標的とすることで骨に抗吸収効果や同化作用が及ぶことを示している。老化細胞の除去や老化細胞の炎症性セクレトームの阻害が心血管機能を改善し、インスリン感受性を上昇させ、脆弱性の軽減を引き起こすことを考えると、この基本的機構を標的とすることで老化に伴う骨量減少を防止するのは、骨粗鬆症だけではなく、老化に伴う多数の共存症のための新しい治療戦略になると考えられる。

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