Review
神経疾患:脳疾患に重要な役割を持つことが明らかになってきたミクログリア
Nature Medicine 23, 9 doi: 10.1038/nm.4397
中枢神経系(CNS)疾患へのミクログリアの関与については、新しい知見が最近急増したことで考察が進みつつある。分子レベルでの多くの新たな研究手法や疾患のマウスモデルにより、自閉症のような神経発達障害からアルツハイマー病や慢性疼痛のような神経変性疾患に至る多様な疾患で、ミクログリアという不明なところの多かった神経系細胞が中心的な役割を果たすことが次第に明らかになってきた。それと同時に、ミクログリアは健常な脳でも、発生中の神経回路の調整から学習と関連した可塑性の誘導まで、多様な役割を担っていることが分かってきた。ミクログリアの生理学的機能の解明は、疾患でのその役割を明らかにするのに不可欠である。本総説では、CNS疾患におけるミクログリアの機能に加えて、その機能障害も含めて、急速に拡大しつつある研究の最近の進展に焦点を絞って論じる。