Article 心不全:ヒストンデアセチラーゼ4のタンパク質分解断片はヘキソサミン生合成経路の調節を介して心臓を心不全から保護する 2017年12月11日 Nature Medicine 24, 1 doi: 10.1038/nm.4452 ストレス応答性のエピジェネティックな抑制因子であるヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)は心臓の遺伝子発現を調節する。本論文では、心不全を起こしたマウスの心臓において、HDAC4のタンパク質分解に由来するN末端断片(HDAC4-NTとする)のレベルが健康な対照マウスの心臓に比べて低いことを示す。Hdac4遺伝子のHDAC4-NTをコードする部分をウイルスを用いてマウスの心筋に移入すると、心臓がリモデリングや心不全から保護された。これは、核のオーファン受容体をコードするNr4a1の発現低下とNR4A1依存性のヘキソサミン生合成経路(HBP)活性化の低下と関連していた。逆に、運動はHDAC4-NTレベルを上昇させ、また、Hdac4を心筋細胞特異的に欠失させたマウスでは心臓疲労とNr4a1の発現上昇を特徴とする運動能低下が見られた。機構としては、NR4A1がHBPおよびカルシウムセンサーSTIM1依存的な様式で収縮機能を負に調節することが分かった。我々の研究は、代謝経路の1つのエピジェネティックな調節がカルシウムハンドリングに影響を及ぼすという新しい調節軸を示している。間欠的な生理的ストレスの際にこの軸が活性化されると心機能が促進されるが、病的な心臓ストレスが持続している間にこの軸が障害されると心不全につながる。 Full text PDF 目次へ戻る