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ポルフィリン症:急性間欠性ポルフィリン症に対する原因療法に使われる全身性メッセンジャーRNA
Nature Medicine 24, 12 doi: 10.1038/s41591-018-0199-z
急性間欠性ポルフィリン症(AIP)は、ヘム生合成経路で働く第3番目の酵素であるポルフォビリノーゲンデアミナーゼ(PBGD)のハプロ不全により生じる。AIPの患者では、肝臓のヘム需要の増加と関連した内臓神経性発作が見られる。フェノバルビタールで発作を誘導したAIPマウスでは、神経毒性である可能性があるポルフィリン前駆体の肝臓での過剰産生などの、AIP患者の生化学的および臨床的特徴が再現される。今回我々は、脂質ナノ粒子のカプセルに封入したヒトPBGD(hPBGD、HMBSにコードされる)mRNAの静脈内投与が、マウス肝細胞内で用量依存的にタンパク質発現を誘導し、発作の経過中にポルフィリン前駆体の尿中排出を速やかに正常化することを示す。さらに、hPBGD mRNAはミトコンドリア機能障害、高血圧、疼痛、運動障害に対する保護作用も示した。AIPマウスでの反復投与では有効性の持続と治療結果の改善が見られ、肝毒性の証拠は見られなかった。また、非ヒト霊長類への複数回投与によって安全性と臨床応用につながる可能性が確かめられた。これらのデータは、hPBGD mRNAの全身性投与がAIPの治療法候補となるという概念の実証といえる。