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がん治療:V140AをコードするECSITに頻発する変異は節外性NK/T細胞リンパ腫で過大な炎症を誘導し血球貪食症候群を促進する

Nature Medicine 24, 2 doi: 10.1038/nm.4456

血球貪食症候群(HPS)は致死的な高炎症性疾患で、節外性NK/T細胞リンパ腫(ENKTL)で最も頻繁に見られるが、発症機作はほとんど分かっていない。我々は、ENKTL腫瘍サンプルと正常サンプルのエキソーム塩基配列解読を行い、ECSITevolutionarily conserved signaling intermediate in Toll pathway)遺伝子中にホットスポット変異(c.419T>C)を見いだした。この変異遺伝子はECSITのV140Aバリアントをコードしている。ECSIT-V140Aは、S100A8とS100A9からなるヘテロ二量体に対する親和性が上昇するためにNADPH酸化酵素活性が増強されて、NF-κBを野生型タンパク質よりも強力に活性化するようになる。ECSIT-T419Cノックインマウスは、LPSに応答して野生型ECSITを持つマウスよりも高い腹腔NADPH酸化酵素活性を示した。ECSIT-T419CをトランスフェクションしたENKTL細胞株は、腫瘍壊死因子(TNF)αおよびインターフェロン(IFN)-γを産生し、これらは培養細胞とマウスの異種移植片でマクロファージ活性化と大量のサイトカイン分泌を誘導した。ENKTL患者では、ECSIT-V140AはNF-κB活性化、より高いHPS発症率、および予後不良と関連していた。免疫抑制剤のサリドマイドは、標的遺伝子(TNFIFNGが含まれる)のプロモーターへのNF-kappa;Bの結合を妨げ、サリドマイドとデキサメタゾンの併用は、ECSIT-T419CをトランスフェクションしたENKTL細胞を移植したマウスの生存期間を延長した。ECSIT-V140Aを発現している2人のHPS患者に対して行われていた従来のデキサメタゾンを含む治療計画にサリドマイドを追加したところ、HPSの回復が見られ、無病生存期間は3年を超えた。これらの知見は、ENKTL関連HPSの発症機構についての手掛かりとなり、ここから治療戦略候補が考えられる。

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