Article がん:遺伝的要因によって生じた免疫系の多様な状態は、異なる機構を介して腫瘍プログレッションに影響を及ぼす 2018年1月8日 Nature Medicine 24, 2 doi: 10.1038/nm.4463 腫瘍には複数種の免疫細胞が浸潤し、免疫抑制などの多様な機構を介して腫瘍のプログレッションや転移を促進することがある。腫瘍中の別個の遺伝的変化が、免疫系の全体像の構成にどのように影響するのかは、現在のところ分かっていない。本研究では、重要な腫瘍抑制遺伝子Ptenのみの欠失、あるいはPtenとTrp53、Zbtb7a、もしくはPmlとを組み合わせた欠失によって誘導された前立腺がんの免疫細胞の構成について詳しい解析を行った。腫瘍中では、際立った量的および質的な不均一性が観察された。不均一性は腫瘍中の特異的な遺伝学的事象に直接依存しており、「冷たい」非炎症性腫瘍から大規模に浸潤した状態にまでわたって、治療に重要な影響をもたらす。我々はさらに、ヒトの前立腺がん試料のトランスクリプトーム解析で、このような質的な多様性を明らかにした。これらのデータは、総合的な遺伝子型-免疫表現型解析に基づく患者の層別化が、臨床試験の成功や個別化治療の適切な調整に必要である可能性を示唆している。 Full text PDF 目次へ戻る