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がん治療:JAK–STATシグナル伝達ドメインを導入した新規のキメラ抗原受容体は優れた抗腫瘍効果を誘導する

Nature Medicine 24, 3 doi: 10.1038/nm.4478

Bリンパ球抗原CD19に対するキメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞(以後、CAR-T細胞とする)を使った養子免疫療法は、難治性のB細胞性悪性腫瘍の患者で顕著な臨床効果が見られている。しかし、他の悪性腫瘍を標的とするCAR-T細胞による治療では、現在のところ思わしい臨床成果が得られていない。腫瘍局所へのT細胞の到達が不十分であることやさまざまな免疫抑制機構により、CAR-T細胞のエフェクター反応が妨げられていると考えられるが、現在用いられているCARから送達されるシグナルでは、T細胞の抗腫瘍機能がまだ十分に活性化させられていない可能性もある。T細胞の最適な活性化と増殖には、T細胞受容体(TCR)の結合(シグナル1)、共刺激(シグナル2)、サイトカインの結合(シグナル3)といった複数のシグナルが必要とされる。しかし、これまでに臨床試験で用いられているCAR構成体には、CD3z(TCRシグナル伝達)ドメインと共刺激ドメイン(単独または複数)が含まれるが、シグナル3を伝達するドメインは含まれていない。今回我々は、抗原刺激後にサイトカインシグナル伝達を誘導できる新たなCARを開発した。この新しいCD19 CARは、TCRシグナル伝達ドメイン(CD3z)と共刺激分子であるCD28ドメインに加えて、インターロイキン(IL)2受容体β鎖(IL-2Rβ)の細胞質側ドメインの一部と、STAT3に結合するチロシン-X-X-グルタミン(YXXQ)モチーフ〔以後、28-ΔIL2RB-z(YXXQ)とする〕を含んでいる。この28-ΔIL2RB-z(YXXQ)CAR-T細胞は、JAKキナーゼ、および転写因子STAT3とSTAT5を含むシグナル伝達経路の抗原依存性を活性化し、これらがin vitroでCAR発現T細胞の増殖を促進し、またエフェクター細胞への分化を抑制した。また、28-ΔIL2RB-z(YXXQ)CAR-T細胞は、血液腫瘍と固形腫瘍のモデルにおいて、CD28や4-1BB共刺激ドメインのみを発現するCAR-T細胞と比較すると、in vivoでより優れた持続能と抗腫瘍効果を示した。本研究の結果は、我々の新規CARが臨床で治療毒性を最小限に抑えながら優れた抗腫瘍効果を得られる可能性を示唆しており、この新規CARは臨床へのトランスレーショナル研究に値すると考えられる。

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