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感染症:先天性ジカウイルス感染は不顕性ながら胎児脳での神経産生消失を伴う

Nature Medicine 24, 3 doi: 10.1038/nm.4485

フラビウイルスの一種であるジカウイルス(ZIKV)は、胎児の脳に催奇形性の影響を及ぼすが、ZIKVによって誘導される脳損傷の全体像は知られておらず、特に超音波画像が正常の場合の損傷については分かっていない。我々は、ZIKVに感染した妊娠ブタオザル(Macaca nemestrina)をモデルとして用いて、胎児脳でZIKVが引き起こす損傷は、小頭症が見られない場合であってもかなり重篤であり、しかも臨床での検出が困難であると考えられることを示した。共通する微細な損傷パターンが突き止められ、それらには(i)脳室周囲のT2高信号域と胎児非皮質脳体積の消失、(ii)上衣細胞からなる脳室上皮の損傷とその原因となる神経膠症、(iii)脳室下帯(側頭皮質)および顆粒細胞下帯(歯状回、海馬)での顆粒神経細胞パターン形成異常を伴う後期胎児神経前駆細胞の消失が含まれていた。胎児での神経産生の低下は、小頭症を伴わない場合であっても、先天性ZIKV感染による催奇形性の影響がかなり大きい可能性を実証している。我々の知見は、in uteroでZIKVに曝露された小児は全員が、出生時の頭のサイズとは関係なく、神経認知障害に関して長期にわたるモニタリングを受けるべきであることを示している。

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