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がん:乳がんサブタイプの微小環境による制御は、パラクリン型の血小板由来増殖因子CCシグナル伝達を介して誘導される
Nature Medicine 24, 4 doi: 10.1038/nm.4494
基底細胞様のホルモン受容体陰性乳がんサブタイプは、いまだに解決されていない臨床的難問であり、治療後の患者の再発率は高く、生存率は低い。悪性化した乳腺上皮とその下層の間質の共進化により、がん関連繊維芽細胞(CAF)が活性化され、これが、全てではないにしても、がん進行の特質の大部分を支えている。本研究では、CAFが乳がんの分子サブタイプの決定因子というこれまで知られていなかった役割を持つことを明らかにする。我々は、ヒトの基底細胞様乳がんで、血小板由来増殖因子CC(PDGF-CC)を発現するがん細胞と、その受容体を発現するCAFの間にパラクリン型クロストークがあることを突き止めた。がんのマウスモデルで、PDGF-CC活性を遺伝学的あるいは薬理学的に阻害すると、基底細胞様乳がんのホルモン受容体陽性状態への転換が引き起こされ、これまでは抵抗性だった腫瘍で内分泌治療に対する感受性が増強されることが分かった。我々は、乳がんの基底細胞様サブタイプへの特異化は微小環境によって制御されており、治療標的となり得ると結論する。