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がん治療:CAR T細胞に誘導されたサイトカイン放出症候群はマクロファージによって仲介され、IL-1遮断によって軽減する
Nature Medicine 24, 6 doi: 10.1038/s41591-018-0041-7
CD19を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)療法は、治療抵抗性のB細胞悪性腫瘍、特に急性リンパ芽球性白血病(ALL)に有効な治療法である。患者の大多数はCD19を標的とするCAR修飾T細胞(CD19 CAR T細胞)の単回注射後に完全奏功を達成すると予想されるが、この治療の広い適用を妨げているのが重篤なサイトカイン放出症候群(CRS)である。CRSはインターロイキン6(IL-6)などの血清サイトカインの増加に関連した発熱や低血圧、呼吸器不全を特徴とする。CRSは通常、T細胞注入から数日以内、つまりCAR T細胞増殖のピークにあたる時点で起こる。ALLでは、CRSは腫瘍負荷が高い患者で最も頻繁に起こり、より重症となる。CRSはIL-6受容体阻害に応答する可能性があるが、致死的になりかねない重症度を低減するために高用量のコルチコステロイドの投与がさらに必要となることがある。治療薬や予防的処置の改善には、CRSのまだ明らかになっていない病態生理学的性質の解明を進めることが必要である。今回我々は、CRSのマウスモデルについて報告する。このモデルはCAR T細胞注入後2〜3日以内に致死的となることがあるCRSを発症し、IL-6受容体遮断に応答する。CRSの重症度はCAR T細胞由来のサイトカインによってではなく、レシピエントのマクロファージが産生するIL-6、IL-1および一酸化窒素(NO)によって引き起こされることが明らかになった。この結果は、新たな治療介入を可能とするものである。